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彼は山を眺め、空を見あげ、それから利根川の流れを見た。空は薄く絹を張ったような青で、ところどころに白く、ゆっくりと断雲が動いていた。川の水は澄みとおって、汀に近いところは底の小石が透いて見える。——対岸の河原も枯れた芦の茂みがひろがり、土堤の上を一人の農婦が、馬に荷車を曳かせて、川上のほうへ歩いていた。【天地静大】

· · 山本周五郎作品より · 0 · 0 · 0
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